4月の中旬より8月中旬までの予定でワシントンDCに駐在しております。前任者が帰国してから期間が空きましたが、私の駐在開始によりブログを再開します。
早いもので、こちらに来て2ヵ月が経過しました。今日から残りの期間、米国の知財事情、生活などのトピックスを可能な限り語って行きたいと思います。
左は、私が駐在している法律事務所が入っているビルです。
内装は白で統一され、ホワイトハウスをイメージさせるような、趣の深い建物です。
さて、まず第1回目は、先日、CAFC(United States Court of Appeals for the Federal Circuit:米国連邦巡回控訴裁判所)の審理を傍聴したので、それについて述べたいと思います。
CAFCは、私が駐在している法律事務所から歩いて2,3分のところにあります。ホワイトハウスのすぐ隣りです。
左は、CAFCです。
手前側の黄色い建物もCAFCの一部のようで、「ここがCAFCだ」とこちらの弁護士に最初に言われたときは、「なんと裁判所らしからぬ外観をしているのだ」と思ったものです。後から分かったのですが、奥の建物も含めてそう言っていたのですね。
入口には、しっかりと表札がありました。
審理は午前10時から始まりました。私が5分前に到着したときには、既に傍聴席は満員で立ち見も出ていました。裁判所の係の方が調整してくれて、何とか最前列に座ることができました。
開廷に際し、まず最初に裁判官から簡単な挨拶があり、軽いジョークで法廷内にはドッと笑いが起こりました。この辺りは、「アメリカらしいな」と思いますね。
この日は、裁判官3名が出廷し、横に並んで座った3名の裁判官に対面するように、上訴人(Appellant)側と被上訴人(Appellee)側の代理人がそれぞれ左右に並んで座っていました。裁判官3名と正対すると共に双方の代理人の背中を見るような形で、傍聴席が配置されています。傍聴席の前には柵があり、有資格者以外は入れないようになっています。
当日は、4件の審理が予定されており、30分刻みの予定で審理が進んで行きました。案件ごとに、代理人が速やかに入れ替わり、次々と進んでいきます。2件目の案件では、隣に座っていた方が柵を越えて代理人席に向かっていきました。ずっと隣で落ち着かない感じでしたので、緊張していたのですね。
上訴人と被上訴人とが交互に主張を繰り返すのですが、その際に、裁判官から代理人弁護士に矢継ぎ早に質問が浴びせられていました。質問されると、分厚い資料をめくりながら、必死に答えているようでした。1件目の案件では、片方の代理人は質問に対する答えに窮したり、また他方の代理人は審理に対する準備不足を叱責されたりと、傍聴していて何かスッキリしない感じでした。
ちょっとブレーク!
左は、国会議事堂の写真です。
そういえば、現在、米国特許法の改正が国会で議論されていますね。
これについては、後日、近況について触れてみたいと思います。
審理も進み、我々が注目していた4件目の案件に移りました。前の案件の審理が押して、40分近く予定がズレて始まりました。
この案件については、事前に準備書面に目を通していたので、争点がはっきりわかり、傍聴していて非常に楽しかったです。構造系の特許権の侵害に関するもので、原審では侵害が認められていました。これに対し、上訴人は本件特許は自明であるとして特許無効を主に主張していました。双方、しっかりと準備できていたようで、裁判官の質問に対して、テキパキと答えられていました。
4件の審理を傍聴して感じたのは、代理人の力量がよく分かるということでした。1件目の審理では、一緒に同席した米国弁護士も、あまりレベルが高くないと言っていましたが、それは私も感じることができました。
3,4件目の審理では、代理人に対して非常にスマートである印象を持ちました。特に、3件目の審理では、出願人側と特許庁側との出願に関する争いでしたが、裁判官から何を聞かれても的確に、分かりやすく、身振り手振りを交えて、答えていました。何より、代理人弁護士が自信にあふれているのが伝わってきました。
残りの滞在期間は短いですが、可能な限りCAFCの傍聴に出かけて、どの法律事務所のどの弁護士がどのような法廷でのパフォーマンスをするのか、見てみたいと思います。
第1回おわり